2019年05月23日 13:59

馬見塚喜康展 5/22〜5/28

カテゴリ:toyotagarouカテゴリ:催事のご案内カテゴリ:洋画
馬見塚喜康展

5月22日(水)~28日(火)
10:00〜19:00(最終日は16:00閉場)









一遺構の連作について一

私は、ここ10年余り、日常生活を送る中で、ふと感じる懐かしさや心地よさを感じる光をテーマに作品を作ってきました。自分にとって居心地の良いものを作れば作るほど、その反対側にあるものに対して、知らず知らずのうちに力を与えていたように思います。ここ数年は、心地よい光を描きながら、なぜか得体のしれない恐怖を感じていました。本当は、世界には両方のものがあるのではないだろうか?その片方を見て見ぬふりをすることは、危ういことではないだろうか。

今、生きる世界の心地よいものも、嫌なものも受け入れたい。光も闇も。そう思えたときに最初に描いたのが「産業奨励館(原爆ドーム)」の連作でした。

産業奨励館(原爆ドーム)を実際に取材しましたが、自分の日常からあまりに隔絶された産業奨励館は、私には、感情的にも理性的にも何を捉えていいのか分からない、「得体のしれない何か」としか言いようのないものでした。

残酷なことですが、産業奨励館(原爆ドーム)の出来事は事実です。実際に起こった出来事ですし、これから先、この世界にも起きうる出来事です。そんな世界に生きている。どんなに嫌がっても、受け入れるしかない事実なのだな、と認められたら、得体のしれない恐怖は少し薄まることになりました。




遺構の連作で、もう一つ、どうしても描きたかったのが東日本大震災で廃墟となった震災遺構でした。産業奨励館(原爆ドーム)よりも、より身近に感じる方もいるのではないでしょうか。私は2018年10月に現地を取材させていただきました。

初めに南三陸町防災対策庁舎を取材しました。亡くなる直前まで、防災無線で町民に対して非難を呼びかけた遠藤未希さんの報道を視聴された方もいるのではないでしょうか。他にも高野会館、さんさん商店街、お寺にあるお墓なども、拝見させていただきました・・・。

陸前高田市まで北上し、遺構となった施設、復興しつつある風景を見ました。気仙中学校や商業施設跡、文字通り何もなくなった跡地・・・。

震災遺構の周りはキレイに整地されていたり、約10mの防潮堤の盛土がされていたりで、震災以前の風景が分からない様子でした。


取材を終え、制作を開始しましたが、制作は思うように進みませんでした。

被災された方を思うと、作りづらい気持ちもありました。

制作を進める中で、ただリアルに細密に描写するだけでは、完成から遠ざかるように感じました。結局、細部をつぶし、少しボンヤリと描いたあたりに完成があるように感じました。それは、描きかけの中に何度も見た風景でした。

少しボンヤリとした風景・・・。震災遺構の作品を見つめていると、私は、二つの画像が頭に思い浮かびます。一つは報道でみた、津波で町が破壊されていくときに起こる砂埃です。そしてもう一つは、復興の工事で、故郷の風景がゴソっと入れ替えてしまう工事で起こっている砂埃です。

私は、このボンヤリとした空気の向こうにある施設を通し、壊されて変わりゆく日常のやるせなさを感じつつ、それを受け入れるしかない行き場のない思いを感じます。

望む、望まないに限らず、事実として起きた(起きている)ことです。日常とは簡単に崩れうるものです。だからこそ美しい。儚い。そしてかけがえのないもの。 闇の世界はそれを教えてくれているように感じます。

遺構を描き、やるせない思いは大きくなりました。しかし、この世の陰から目を逸らしていた時に感じていた得体のしれない恐怖は薄まったように感じます。この連作を描くのは辛いですが、大切なことにも感じます。

最後に、被災地のカメラマンの佐藤信一さんが、津波で流された街を見つめ、泣いている被災者の方を撮った写真に寄せたコメントを紹介したいです。

「レンズを向けて ごめんなさい。 でも 辛い記憶も記録として残さないとと思う。 二度と繰り返さない為に

もう、つらい写真はとりたくない。」

平穏な日常を心よりお祈り申し上げます。


馬見塚 喜康


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